身体強盗 第6話「強盗、入れ替わった加奈と再会する。」

作:onaona

 

銀行強盗の石柿亮司が女子高生の遠藤加奈の身体と入れ替わってから二ヶ月程経過
したころ・・・・・。
 
彼は加奈の身体に馴染み、成りすまして普通に生活していた。姉妹との仲は相変わら
ず溝ができたままであり会話する機会がなくなっていた。
 
剣道部の部長は部活を引退し、卒業まで数週間しかなかったが、あの出来事により『
加奈』と付き会い始めていた。
 
彼はいつものように『加奈』として学校に行こうとしたのだが、母親があることを
話題にしていた。二ヶ月前に捕まった銀行強盗の話しだった。強盗と身体が入れ替
わった加奈が強盗の身体で目覚めたようなのだ。
 
『ついに目覚めちまったか。このまま眠ってたほうが幸せなのによぉ。ふふふ。』
 
彼は学校帰りに彼女・・・・・いや、今は彼なのだが・・・・・・・とりあえず
会いに行くことにした。
 
学校終了後、遠藤加奈の身体に入れ替わった石柿亮司は、同じく入れ替わりにより
石柿亮司として拘束されている加奈に会うために地図を辿りながら、彼女が収容さ
れている刑務所に向かった。
 
到着するとすぐに窓口で面会することを申請した・・・・。
 
しばらくして銀行強盗の石柿亮司(中身は遠藤加奈)は遠藤加奈(中身は石柿亮司)
のもとに姿を現した。すっかり身体が衰えてやつれていた。
 
それはまさしく彼の身体だ。こんな痩せてしまっているとは彼自身思わなかった。
 
でも今となってはどうでもいいことだった。今の彼の身体はこの可愛らしい女子
高生・・・・・遠藤加奈なのだから。
 
加奈(亮司)は亮司(加奈)に話しかけた。
 
「やぁ、久しぶりだな。お嬢ちゃんよ。あっ、おっと失礼。今はお嬢ちゃんが俺
なんだっけな。へへへ。」
 
亮司(加奈)は目の前にいる加奈(亮司)を見て驚いていた。
 
「なっ・・・・・なんで私がそこにいるの?」
 
「ん?・・・ああ、そうか。最近、目覚めたんだったよな。実はあの銀行強盗の日、
お嬢ちゃんが自分の姉を守ろうとしただろ。そのとき運悪く、足を滑らせて地面に
叩きつけられ俺の頭とぶつかったショックでお互い気絶したんだ。そのときに俺と
お嬢ちゃんの精神が入れ替わったんだ。おかげで銀行強盗には失敗したが、別の収穫
ができたぜ。ありがとよ、お嬢ちゃん。」
 
それを聞いた亮司(加奈)は加奈(亮司)に向かって泣きながら叫んだ・・・・・・。
 
「かっ、かえしてっ!!私の身体!!」
 
「ん?それは無理な相談だな。この身体はもうすでに俺の習慣や性癖が身に
ついてるんだよ。だから、これはもう俺の身体だ!お嬢ちゃんのじゃないよ。
残念だったな。それに戻り方わかんねぇーし。ふふふ。」
 
「そっ、そんな・・・・・。」
 
グスンッ、グスンッ!!
 
亮司(加奈)は悔しそうに泣いていた。それを見た加奈(亮司)は加奈の顔で嫌らし
い表情を浮かべながら言った。
 
「ふふふ。可哀想だよな。お嬢ちゃんは何もしてないのによ。どうにかして助けて
あげてもいいぜ。」
 
「・・・・ほ、ほんとに?」
 
「ああ、俺を信じなって!次に面会にくるときまで待ってろよ。」
 
亮司(加奈)は泣き止み、少し顔が明るくなった。希望が沸いてきたのだろう。
加奈(亮司)は亮司(加奈)と約束し、面会時間が終了し、刑務所を去った。
 
「・・・・くくくくっ、・・・・・・ぐははははははっ!!」
 
加奈(亮司)は外に出た瞬間、急に笑い出した。加奈には見せない下品な表情で・・・・・。
 
彼が約束を守るはずもなかった。彼は元は銀行強盗であって犯罪者であり信用が薄い。
そんな彼に彼女は救いを求めていた。
 
他に誰も助けてくれる人がいないため、彼だけが頼りだったのかもしれない。だが、
彼は彼女を助けることはさらさらない。むしろ、その逆であって彼女を陥れようと
していた。
 
次にあったときは彼女に罠を仕掛けることを考えていた。
 
加奈(亮司)は家に帰ってネットなどで刑務所を脱獄するための方法を調べ、必要で
あれば脱出するための道具などを取り揃えた。
 
そしてさらに月日が流れ・・・・・・。
亮司の身体に入れ替わった加奈をどうにか刑務所の中から脱獄させることを実行した。
 
彼は通常の私服を着て面会に行ったのだが、衣服の中にはある特殊なモノを仕込んで
おいた。それは睡眠効果のあるものでボタンの形をしており、そこから特殊な電波を
放ち、自分自身や周りにいる人は熟睡してしまうのだが、彼は予め予防しておいたの
で熟睡はしない。ネットでいろいろな人とやりとりしているうちに存在に気がつき、
やっとの思いで手に入れた代物だった。
 
そうしてそれを身につけながら亮司(加奈)と話していると周りの人が急に眠気に
襲われ、床に崩れてしまった。
 
そのすきに亮司(加奈)を連れ出そうとしたのだが、彼女も熟睡しそうだったので
ある薬を飲ませ、目を覚まさせた。
 
そのうちに刑務所を脱走した。
 
「よし・・・・はやく逃げるぞ!」
 
「・・・・・う、うん。」
 
ガシャンッ!!
 
加奈(亮司)は近くにあった車のガラスを割り、車に乗り、運転した。
 
「なっ・・・・なんてことするの?」
 
「仕方ないだろ!お嬢ちゃんを逃がすためだ。我慢しろ!」
 
女子高生が人の車を盗み、無免許で運転した。明らかに犯罪だ。
 
『捕まれば、この娘こそが牢獄の中だろうな。まぁ、そのときは俺と入れ替わってる
加奈ちゃんに罪を着せればいいか。ふふふ。』
 
加奈(亮司)は車を飛ばして加奈の家まで行った。加奈の両親や姉は仕事や用事で
まだ誰も帰ってきていない。そのため、今は家で一人なのだ。
 
加奈(亮司)は車を近くの駐車場に止めて亮司(加奈)を連れて家に入った。
 
「ふふふ。なつかしいでしょ、あなたの家?久々に帰った気分はどう?」
 
加奈(亮司)は亮司(加奈)の前でわざと加奈の口調で言った。
 
「こっ・・・・・これから元の身体に戻してくれるの?」
 
「あら、そんなこと言ったかしら?助けるとはいったけど、元に戻すとは誰もいって
ないわ。」
 
「そ、そんな、ひどい!!」
 
亮司(加奈)は落胆した。
 
「あらあら、元気出して。これから一緒に遊ぶんだから、そんな顔しないでね。ふふふ。」
 
加奈(亮司)はそう言いながら手際よく服を脱ぎ始めた・・・・・。
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