着替える男 第4話「オートロック」


ピンポーンッ!!!

俺は疲れのあまり布団に横たわり眠っていたのだが、インターホンの音で目が覚めた。

「はぁ〜〜い。」

俺は仕方なく出てみた。白鳥さんの声にできるだけ近づけて返事をした。

だが、ドアを開けると・・・・・・・・。

「うぐっ!!」

いきなり、腹に拳を当てられ俺は気を失った。そのため誰だったのか良くわからなかった。

あれから何時間が経ったのだろうか。俺はホテルの一室で目を覚ました。
苦痛を感じると思っていたら、どうやら椅子に座らされ、縄で身体が縛られていた。

「あれ?ここはいったい?」

「ふふふ、目覚めたようね。」

前のほうから女性の声が聞こえた。その声の主を見ると、白鳥恵だった。
しかもなぜかメイド服を着ている。

「し、しらとりさん?」

「ふふふ、おはよう、工藤くん♪いや、今は白鳥恵だね。どうだった?私に変装した気分は?」

「白鳥さん、俺、山崎の奴に無理やり変装させられたんだ。信じてくれ。」

「へぇ〜、そうなの〜。」

「本当だよ。信じてくれよ。」

「ええ、信じるわよ・・・・・・・・。」

「えっ、信じてくれるの?」

「そりゃー、信じるよ。だって俺も偽者なんだからさぁ〜。」

「・・・・・・・えっ!!」

「俺だよ、俺。山崎だよ。」

目の前にいる白鳥恵は男性のようの野太い声で言った。

「なっ・・・・・・・・本当におまえか?」

「ああ、俺だよ。山崎だよ。」

「ってことはお前がここまでつれてきたのか?」

「ああ、そうだよ、俺が連れてきた。」

「おまえ・・・・・・・・・いったい何が目的なんだ?」

「何がって!そりゃあ、決まってるだろ!楽しむためだよ。」

「早く、これをほどいてくれ。」

「いや、それはできないな。これからがおもしろいときっていうのに。今日ももう一
人つれてきてるんだ。ここに紹介するよ。」

「なっ!!」

山崎が連れてきた人物を見て俺は驚いた。
そこにいたのはなんと俺だった。手は後ろに紐で縛られていて目隠しをされている。
それに昏睡状態のようだ。

「こっ、これはいったい?誰なんだ?」

「ふふふ、ヒントをやろーか?」

そういうと、『俺』のズボン、トランクスを脱がして下半身を裸にした。

「こっ、これは・・・・・・。」

股間のところにはあるべきものがなかった。どうやら、女性が無理やり俺そっくりの
マスク被され、強制的に男装させられたらしい。

「いったい誰なんだ?これは!」

「ふふふ、お前と逆だよ。」

「逆・・・・・・・まさか!!」

「そう、これの中身は白鳥さんだよ。」

「うそ・・・・・・だろ・・・・・。」

「本当さ。」

「これから、どうするつもりなんだ?」

「さぁーね、ちょっとココで大人しくしてもらおうかな。じゃあ、そういうことで
バイバイっ!!」

ガタンッ!!

「おっ、おい!!待てよっ!!」

俺は縛られており全く身動きが取れなかった。俺の姿に強制男装された白鳥さんは床で
気絶したままでどうすることもできなかった。

だが、後ろにカッターがあることに気がついた。ギリギリだったが俺は手を伸ばし、
なんとかとることができた。

そして縄をほどいた・・・・・・・。

俺はさっそく部屋を出ようとしたのだが、なぜか開かなかった。
電話もつながらないようであり、どうやらこの部屋に閉じ込められたらしい。

そのとき・・・・・・。

「ううっ・・・・。」

俺の姿に変装させられた白鳥さんが目を覚ました。

「ああ、目が覚めたか、白鳥さん。」

「んん・・・・・・・ああっ!!」

白鳥さんは俺を見てすごく驚いていた。
今の俺は白鳥さんの姿をしている。自分と同じ顔をした人間が目の前にいるのだ。
驚くのも無理もないだろう。

「どっ、どうして私が目の前に・・・・・・。」

白鳥さんは混乱していていたので俺は今までの経緯を話した。

「そ・・・・・そんなぁ・・・・・・山崎君が・・・・・・・・。」

「ああ、そうなんだ。まったくなに考えてるんだ、あいつ。」

「これ、脱げないのかしら・・・・・。」

「ああ、それか。俺も試したけど無理だった。ここから出てあいつを捕まえて方法を
聞き出そう・・・・・・。」

「ええ・・・・・・。」

俺と白鳥さんはドアを開けることを何度も試みた・・・・・・・。




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